歴代最安クライアントとの取引を振り返る

むかーし、むかし、あるところにAnyaという会社員がおりました。

Anyaは翻訳者を目指して、毎日毎日いっしょうけんめい勉強に励み、副業として翻訳を始めました。

そんな中、あるとき、A社のトライアルに受かりましたとさ。

それは、副業時代のはじめの頃のこと。

契約時に提案された単価はなんとまあ、相場だと思っている単価よりもずっとずーっと安い単価ではありませんか。

ですが、自分には経験がないから仕方ないと思ったAnyaは契約してしまいましたとさ。

そのとき、Anyaは知りませんでした。

A社との取引には大きな大きな罠が仕掛けられていたのです。

取引自体は数ヶ月でやめています。

単価が安すぎる翻訳会社は安かろうまずかろうの典型例

他の翻訳分野の方も同じようなことをおっしゃっているので、皆似たような感じなのだろうと思いますが、単価が安い会社ほど一緒にお仕事をする気が起きない要素てんこもりです。

指示事項が異常に多い

安い分、当時のAnyaのように新規参入者ばかりを使っているのでしょう。そのため、品質が信頼できないからなのか、クレームが多いのか、顧客からそれまでに言われた指示を適宜整理もせずに全部詰込んでいるらしく、やたらめったら指示が多かったです。単価安いならごちゃごちゃ細かいこと指示すんな?と思うのですが、むしろ単価高いところの方が選別がきっちりしている分、外注を信頼して任せている気がします。

ソースクライアントの担当者が違えば要望も変わってくるので、矛盾している指示もちらほら。そして、それらを整理するためにいちいち確認する義務があるのはこっち。エージェントとして中抜きしてる意義なくない?

案件は右から左へ流しているだけ

同一クライアントのものだったら普通依頼先はある程度固定すると思うのですがバラバラ。内容についても分野が散らばりすぎてハチャメチャ。コーディネータが内容をほぼ把握できていなかったと思います。リンゴとバナナを混同するレベルで。

とりあえず、誰かに振っておけば良いんだろという投げやり感がぱねぇっす。

納期は短い傾向あり

安けりゃいいや、と頼んでいるソースクライアントも多いのでしょう。納期がきついのに無理矢理引き受けた仕事をえいやっとエージェントに投げて、エージェントもそれを翻訳者に流しているだけな感アリアリでした。

Anyaは副業で請けられる量に限界があるので納期が短すぎるものは対応不可と伝えていました…が、後述するように無意味でした。

契約書の内容がおかしい

安く外注をこき使おうとしている上、ミスがあれば賠償責任を負えといったような契約書の内容…。

エージェントならば最終納品責任はどこにあるかご存知でしょうか。直取引じゃないんだから。エージェントが存在する意義とは?

きっとミスがあるときもソースクライアントには「あーあのバカ翻訳者がミスったんですよ。注意しておきますわ。テヘペロ」って感じで伝えているのでしょうね。

コーディネータが仕事がデキない

とにかく頭を使っていない仕事ぶり。

「これは無理です」とお伝えしても、記録していないらしく最初から無理だと伝えている条件の案件を投げてきたり、休暇連絡や連絡可能な時間帯を伝えていても完全無視。一人に伝えても社内で一切共有されていません。

メールの文面も初回の連絡からですます調である以外は、友達へのメールですか?ってくらいなれなれしい方もいました。メールはすべて社内共通メールにCCしているなら、同僚がどこかで気付いて注意するものでは?

翻訳以外の作業もさりげなくタダでやらせようとする

DTPまで料金交渉もなく、まるっと投げようとしてきました。別料金だと伝えるとその依頼はなくなりました(笑)搾取の姿勢は徹底していますね。スバラシイ。

振り込み日が遅い

安い分、自転車操業なのでしょうか。振り込み日は下請法的にアウトでした。

安い仕事の代償

安さで売っている分、そのことだけに引き付けられる企業もそこそこあるのか案件自体はとても豊富でした。

ある意味、他の新規開拓前に実績を積むには役立ちましたけど…。

ただ、フィードバックは毎回してくるものの、内容面に関しては一切言及されません。常に体裁の面だけ。しかも、指示にない点まで『ここは半角にしろ』『スペースを増やせ』、『この単語はこっちの表記にしろ』など。むしろ、それしかチェックしてなかったのかもしれません。フィードバック内容自体も度々矛盾していたので、上の確認なしにチェッカーに好き放題フィードバックさせていたのかもしれません。

そして、まともに稼げる翻訳者は居着かないためか、案件はひっきりなしに来ます。

Anyaはこの頃、内容に関して何も言われず、しかもたくさん依頼が来るからと『このくらいの品質で良いんだ』と慢心してしまい、一時的にかなり品質が下がっていました。あまり考えもせず、右から左に言語変換していただけのように思います。

途中でここと取引を続けてもストレスしか溜まらないし、能力が下がっていてヤバい!と気付き、短期間で取引をやめたから良かったものの、1年、2年とこういう品質基準が低いところとだらだら付き合うと、完全に悪いクセがついてしまってかなり危険です。窓際族でも高給なおっさんたちと一緒になってしまいます。

経験がないからと不当に安い単価では請け負うべからず

新規参入の方は、経験がないからといって自分の分野の相場より不当に安い単価の会社と仕事をやるべきではありません。するとしても、履歴書に実績として書くためだけに数件やるだけに留めましょう。

最近は、ワード単価2円、3円なんて募集も見かけますが論外!インドに住むなら余裕でしょうけど…。

どの分野であれ一桁台後半(かつ二桁寄り)がギリギリの下限ではないでしょうか。ただ、最近は後輩ちゃんに話を聞いていると昔は二桁提示してくれていたところも一桁だったり、かなり渋いみたいです。新規参入を考えている人は急ぎましょう!

軌道に乗せるには二桁の単価は欲しいところ。月に欲しい金額、作業できる量などから逆算して自分の下限額を設定してから開拓していくのも良いでしょう。

それと、安すぎる単価で仕事をするってことは、あとから参入してくる人たちにも被害に遭わせているのだと思います。『主婦が趣味でやってるからって安すぎる単価で請け負うのをやめろ!業界全体で価格引き下げの原因になって迷惑だ!』ってよく言われるのは同じことですよね。

一人一人が毅然とした対応を。妥協して慢心していると一時のAnyaのように安い報酬と引き換えに能力も損なわれかねません。