翻訳って言っても色々! ―映像翻訳編

「翻訳」と聞いたときに文書が対象ではないためぱっと思いつかないかもしれませんが、映像翻訳と呼ばれる分野があります。今回はこの分野についてご紹介します。

映像翻訳とは

映画やドラマなどの映像の字幕吹替えの翻訳を行うのが「映像翻訳」です。憧れちゃいますよね~。Anyaも海外ドラマにハマって現在18年ほどですが、やっぱ憧れていた時期はあります。

有名なのは戸田奈津子さんですね。叩かれることもありますけど、やはりこの分野の第一人者としてはすごいと思いますよ。志望するのであれば、戸田さんの古い著書は中古でAmazonで1円とかなんで買っちゃいましょ。

一時は海外ドラマが大ブームになりましたけど、ああいうのも全部映像翻訳者の方が翻訳されています。

ちなみに、吹替えと一口に言っても、リップシンクボイスオーバーというものもあります。リップシンクは普通の映画の吹替えだと思っていただければ良いです。ボイスオーバーの方はテレビ番組でインタビューシーンでよく原語が小さい音で聞こえているけど、日本語をかぶせてナレーションが入っていますよね。あれがボイスオーバーです。

現在はこの記事でもご紹介したHulu等のVODもかなり増えていて、ケーブルテレビとNHK、あとはビデオやDVDのみという頃と比べれば、需要は以前よりも増えています。

映像翻訳の特徴

映像翻訳の1つめの特徴としては、スクリプトの書き起こしから行う場合があるので他の分野では必要とされないリスニングが必要です。

他にも、文字制限が厳しいことも大きな特徴の1つ。文字数が多すぎると読みづらくなるので横字幕なら大体ですが1行13~14文字、しかも1秒間に4文字なんていう制限があります。
吹替えであれば口の動きより喋るのが長すぎても短すぎてもだめなので尺合わせを行う必要があります。ここが映像翻訳の醍醐味でしょうね。

また、他の翻訳だと翻訳支援ソフトは必須ではないことが多いですが、字幕翻訳の場合はSST(Super Subtitling System)という字幕制作ソフトが必要です。Canvas社のSST G1 Proというものなら30万円ほど。他の翻訳分野で使うTradosと比べても結構高いですが、指定されることは多いよう。

料金体系も1ワード/文字いくらではなく、10分いくらといった時間ベースの料金体系です。10分って短~いって思いますが、映画でアクションばかりのシーンや沈黙のシーンが多いものならともかく女性が大勢いるドラマなんかだと台詞が多くって大変だろうなと思います。

早口長台詞で有名なのはちょっと古いのだとアリーmy Loveですが、このドラマほど吹替えの評判が良いドラマって珍しいです。若村麻由美さんの声もぴったり。下はRobert Downey Jr.とStingが歌っちゃうAnyaお気に入りのシーンの1つ。

このドラマは10年以上自分の中で一番好きな海外ドラマで、ラブコメ基調ですがしんみり来るところもあってキャスティングも脚本も秀逸です。

何より翻訳の面では、吹替翻訳者の髙山美香さんの翻訳が素晴らしすぎて崇拝してます。なんとデス妻も翻訳されてますからね。

ちなみに、アリーは字幕ならAmazonプライムで観れますし、字幕でも全然面白いですけど、残念ながら吹替えは配信されていません。

Amazon以外では他のVODで観れたこともありましたが、すぐ消えちゃったので、吹替えで見るなら今はDVD買うしかないですね。

映像翻訳者になるには?

話を戻しますが、技術翻訳と異なるのは、映像翻訳者はスクールに行かれている方が結構多い印象があります。あれこれルールが多いので、ネット上のタダの情報や薄い書籍では限界があるから仕方ないし、スクール経由で応募した方が良いのかなと。あとは、字幕制作会社が翻訳スクールをやっているのでそういうところなら直接仕事ももらえますよね。

マスコミ関連の特殊な業界なので、間口が広い技術翻訳と比べるとやはりツテがあるところにどこかで入った方が良いだろうと思います。

本格的にやる気はまだないけれど、とりあえず興味がある程度であれば、まずはこういう本を買ってみるなり、

あとは下のアメリアに入れば字幕や吹替えの定例トライアル(1回2000円未満で短い翻訳文の添削を受けられます)が受けられますし、受けなくても訳例はもらえるので1年だけ入会してみるのもありです。映像翻訳者の方のコラムなんかも載っているので、さくっと情報収集するにはおすすめです。

ちなみに、これ入会されている方同士でメッセージのやりとりもできるので現役の方から声を聞くこともできますね(コンタクトを取るならもちろん失礼のないように)。

他にも普段は小町はいい加減な受け答えも多いですが、このスレッドは現役の映像翻訳者の方が数人どうやって映像翻訳者になったかきちんと書かれているので参考になります。一部引用させていただくと、

私の場合は
とある大手字幕会社が経営している
字幕専門学校に3年通って
そこを卒業したら
お仕事がもらえるようになりました。

専門学校は
週に3日ほど&宿題もばんばん出るので
日中 通常のお仕事しながらだと
かなり根気がないと続かないかも。

とのこと。ゆるっゆるな講座が多い技術系の翻訳講座とは違い結構がっつりやるスクールが多いみたいですね。技術翻訳ももっとちゃんとした講座が増えたら良いんですけどね…。

 <おまけ>字幕翻訳、タダで練習しちゃう?

Anya家は夫婦ともに英米のドラマが好きですが、日本で配信が遅いドラマに関しては待ってられないので最新ドラマ動画は現地のテレビ局サイト等を通して見ています。ですが、Anyaは英語字幕がないとSherlockみたいなドラマは辛いです(いや、あってもきついことが多いですけど…)。

で、世の中にはなんと字幕ダウンロードサイトなんてものがあるので、この辺の字幕を参考にしています。何でもそろっていておすすめなのはaddic7edですが、動画毎に複数の字幕がアップされています。

英語言語に英語字幕だと単なる書き起こしですが、世の中には無料のSSTソフト(例えば、Subtitle Edit)もあるのでご自分で字幕を翻訳して付けてみるなんてこともできます。セットアップについては下のサイトを参考にしてください。

作った字幕は、上のサイトにアップロード…はしちゃだめです。翻訳権の侵害にあたるので。

コピーガードのないDVDならリッピングOKなので、その動画ファイルに自分で作った字幕を組み込んで翻訳の練習することはできます。一本映画を訳せたら相当な達成感でしょうね。

元の動画については、くれぐれも自己責任で合法なものを利用してください。

まとめ

いかがでしたか?

Anyaも一時は憧れた映像翻訳ですが、一見華々しいハリウッド大作や人気ドラマを翻訳するまでは茨の道ですので、文芸翻訳と同じく狭き門です。生計を立てるレベルにするにはそれなりの時間がかかることも覚悟しておくべきでしょう。

またテレビや映画で放送されるものばかりが翻訳対象とも限らないので、目指す方はどんなに興味ない映像でも経験のためにやれるわ!って覚悟が必要です。翻訳業界、イメージは何となくキラキラしてますがどの分野も実際は超地味なのでその辺は誤解なきよう!