翻訳者のスタートレート

直接的な話は避けられがちなスタートレート(開始単価)について今回はAnyaの翻訳者として、またコーディネータとしての実体験からお話します。

※基本的には技術翻訳を前提としています。

スタートレートは企業によりけり

Anyaとしては、スタートレートって、その企業の基礎体力みたいなものが表れていると思います

技術翻訳の和訳の単価はワード単位で数えます(稀に仕上がり400字おいくらというところも)が、えげつない求人ではワード2~4円というのを見かけます。

専門性不要のクラウド翻訳だと多分こんな単価普通なのかもしれませんけど、ちゃんと専門分野があってこの水準だとおそらく普通にこなしても1週間1.25万ワードのペースで月5万ワード訳してやっと20万円なので作業量の割にカツカツですね。

Anyaが一度トライアル受かったけれど唯一お断りしたところはトライアルの成績も経歴も関係なくワード5円スタートというものでした。ここのソースクライアント価格は知っていてその3割に満たないのはちょっとないなと思いましたし、交渉しても伸び幅も期待できないので登録辞退しました。

ここに10年以上前に登録した知人は倍以上の単価で契約しているそうですが、この知人にはもうほとんど仕事は来ないのに対し、駆け出しでワード5円の単価を呑んだ知人は実績積むためと割り切って契約しましたがバンバン仕事は来るようです。(※その後数度の交渉で8、9円までは上げてもらえたようです)

このように、規模がそこそこあって仕事も豊富で単価が安い場合、相当能力がない場合を除けば仕事は山ほどくれるはずなので、ある程度実績を積みたい場合に期間限定という条件付きでお仕事するなら良い取引先と思います。こういうところは、参入したばかりの方が未経験から経験者になるために、言い方は悪いですがステップアップに利用できるでしょう。

もちろん交渉することで上げてくれる可能性も十分ありますが、短期間でバンバン上げてもらうことはこっちも言いづらいですし、注意しないといけないのは会社ごとにこちらの実力にかかわらずMAX単価というのは存在します。そのため、単価があまりに安い会社はさっさと他社に乗り換えた方が早いです

これに対し、特に高単価な取引となると、エージェントを通さない直取引が主流です(エージェントの中にも悪くない単価提示してくれるところもまだ一応あります)。

ですが、直取引は会社によっては支払が遅れたり理不尽な理由で修正を強要されたりといったトラブルがエージェントより多い傾向にあるので要注意。(エージェントはなんとなくですが高単価な方が全般的に気持ちよい取引できるところが多いです)

いずれにしても、1社だけで仕事をするのは危険です。自営業なので何の仕事をやるかは自由ですし、貸し倒れリスクもあるので、取引先は最低2~3社で仕事を回す方が気分転換にもリスクヘッジにもなって良いと思います。

貸し倒れリスクに関しては、経営セイフティ共済がおすすめです。最高800万まで毎月5,000円から20万円まで預けられて経費算入できるので節税効果もあります。

スタートレートの交渉の余地はいかほど?

トライアルに合格して初めてスタートレートを教えてくれる企業はかなり多いですが、これでは低い!と思った場合、交渉しようと思いますよね。

でも、Anyaの経験上、スタートレートが低いところはソークラに安売り前提で営業して仕事を取ってきているから低い場合が多く、高いところは最初からそれなりの単価を提示してくれていることが多いので、交渉の余地はほぼないケースの方が多いです。なので、今現在継続してそこそこの単価の取引先と取引があるのであれば、あまりに低ければ契約拒否も一考の価値あり

トライアルで基準レベル以下ならそもそも不合格とされますよね。では、めちゃめちゃ評価が良い場合なら上げてもらえるでしょうか?

上げてもらえるところもあるにはあるでしょう。ですが、わずか数百ワードのトライアルが良くても、実際の案件の評価は別なのでクライアントから信頼を得ている段階とは言えません(短時間制のトライアルなどだと違うかもしれません)。

そのため、トライアルのレベルで人によってスタートレートを何円も変えるということはあるにはありますが少ないですし、Anyaがコーディネータとして採用をやっていた頃もかなり極端な場合を除けば交渉に応じることは基本的にはありませんでした。変えたとしても1円程度でした。

交渉してスタートレートを上げられる場合もあるでしょうが、ある程度企業が払える上限レートというのは決まっていますし、実際に上げてもらえるのはそれなりに案件数をこなした後なのが普通です

あと、納得いかないからといって最初からあまりに強気な姿勢で交渉すると悪印象を与えかねないのでその点にも注意が必要です。

駆け出しの頃は、向こうが提示する単価を呑むしかない!と思いがちでしょうけど、単価が低すぎるクライアントに対しては、とりあえず契約して「経験者」を名乗るためと割り切って数件だけ引き受けてさっさと新規開拓してフェードアウトするか、単価交渉するか、内容が簡単で合間にできるものに限定して引き受けるなど、こっちが利用するくらいのつもりでいないと搾取されるので注意しましょう

発注側の裏話

ここだけの話、トライアルだけ品質が良くて、実際の案件では本当にトライアルは本人が受けたのかな?と思えるような人も中にはいました

こういうリスクだけでなく、長文になると途中で気が抜けたかのごとく一気にミスが増える人もそれなりの割合でいたので、トライアルが良いというだけでスタートレートを上げるのはリスクが大きいんですよね。

Anyaの元勤め先のスタートレートは業界相場より高かったですが、中には相場とされるレートの倍以上で現代でそんなところあるのかな?ってくらい高い単価のクライアントを探している方には契約自体断られたこともありました。

まとめ

いかがでしたか?

スタートレートについてはあまり具体的な額については述べられることが少ないですが、経験を積んでほとんどのトライアルに受かるようになれば自分の分野の大体の相場は予想がつくようになるので心配しないでください。

翻訳レートは低下傾向にはありますが、きちんとした品質のものを求めているところであれば、いまだにそれなりの単価を提示してくれるところは今も確実にあります。

ちなみに、翻訳の仕事を始めて慣れてない頃にまぐれで高いところに合格したは良いけれど、実案件でミス多発した場合は切られてしまうので、ある意味トライアルで落とされるより損することもあります。そのため初期に高単価クライアントといきなり契約できるのが良いとも限りませんので、焦らず徐々にステップアップしていきましょう。